週末から今日にかけて、私は三連休だった。連休は釣りに充てた。
連休ということで時間や体力や危険というリスクを顧みず、奥地まで行くことができればよいのだが、子育て中の私がズッコケると、家族が露頭に迷うことになりかねない。そこでいつもは近くて慣れていて日帰りで源流釣りのできる奥多摩の支流に入ることが多い。
入渓のしやすいその場所は、『薄い魚影』と『入渓者数』と『先行者』の影響を抜きにしては考えられない。要するにせっかくストレス解消に行っても、常に別のストレスと背中合わせで釣りに行っているということになる(苦笑)。
そういった状態が続いてしまうとかなり疲れてくるので、そんな時にはありがたい癒しの渓に出かけることにしている。
その場所はシャロムの森。個人所有の山塊に流れる川で、放流ナシ、自然再生している天然魚のみ、貸し切りで先行者や他の釣り人を気にせず釣りができるキャッチアンドリリースの釣り場だ。
車止めに到着してからゆっくりと(この辺りが他の釣り人がいないので余裕を持ってジックリと準備ができるのだ)用意をして、午前9時に釣りを開始した。
持参した改造竿(購入して放置してあったので、30年目の入魂となる)にラインと毛バリを結びキャストすると、一投目から反応がある。
結果から言えば9時から13時半の間に20尾以上は釣れたのだが、開始早々はアワセの効かないグラスロッドとヤ豆の猛ラッシュに翻弄され、自分のペースがつかめなかった。
落ち着きを取り戻すために、早めのランチにし、水中撮影もやってみたりして気分転換をした。 午前11時頃になると魚たちにもスイッチが入ったようで、くるぶし程度の浅い水深の流れからもバンバン魚が飛び出してくる。持参した毛バリをとっかえひっかえしたが、全ての毛バリで魚が釣れた(笑)。状況のよい時ならそんなものである。
私は養殖魚以外の渓流魚を食べることはないのだが、自然渓流でもキャッチアンドリリースをしていればこうして魚は増えるのだ。 いつも入渓している奥多摩の渓でも魚籠をぶら下げた釣り人に時々会うことがあるが、みな「魚が小さい」「数が釣れない」と嘆いている。自分で取って食っているので魚が少なくなるのは当たり前の話だが。
ここシャロムにも密漁者が時々入るとオーナーが嘆いていたが、「乱獲者や密漁者には必ずや天罰が下る」と私はいつも自分の気持ちを落ち着かせるようにしている。
たっぷりと渓流魚たちに遊んでもらった翌日は子供たちのリクエストで我が家から車で15分程のところにある金魚の釣り掘りへ。
金魚釣りにいったのだが、ひとつ面白い発見があった。二人の子供の釣った金魚にあきらかに魚種の差が出ていたのだ。
上の子は和金ばかりを釣り上げ、下の子は流金ばかりを釣っている。 同じように釣っているのに…と観察していたら理由がわかった。
和金と流金とでは捕食の速度が違うので、電撃アワセの決まる姉(二代目)はショートバイトしてきた和金を釣ることができる。しかし和金をアワセられない下の子は、流金を狙い遅アワセで対応しているのでみごとに二人の釣果が分かれたというわけである。
腕組みして二人の釣りを分析していた私も大人げないといえばそうなのだが、ついつい釣りとなると持ち前の分析グセが出てしまうので仕方がない。
そして今日は丹沢ホームへ。
釣り関連の書籍に、時々ハウツーの記事を書かせていただくことがあるが、報酬をいただいて書く記事には、当たり前だが責任を持たないとならない。
以前ある分冊百科に『テンカラ竿の機能と特製』という解説文を書かせていただいたことがあるが、こういった道具の記事を書く時には、やはりかなりな検証が必要になるということを痛感した。
元より道具好きなこともあり、毛バリや竿、もちろんラインについても日々考察や検証を繰り返している。
こういった道具類は他人からの情報だけでは自分自身納得できる考えにはならないため、やはり自分で買って自分で使って理解していかないとならない。そのための出費はどれだけか…というのは遠い目になってしまうので考えないことにする。
というわけで、検証というのは相手に魚があってのこととなるわけで、自宅でいくらエアテンカラをやっていたところで、なかなか納得できるものではない。とにかく毛バリを振り込み、魚を釣ってみないことにはどうにもならない。
通常私が好んで入る渓は、諸事情により魚があまり釣れない。一日に1〜2尾というのはザラで(腕のせいっていうなw)、これではキャスティングの練習にはなっても、道具の検証には程遠いということになる。 そこで時々管理釣り場に出かけ、ひたすら魚を釣り、竿や毛バリについて考えと実際を紡ぐことをしている。
月曜だし雨予報だし朝イチだし、思う場所で思った通りに魚を釣り半日を終えた。途中雨が降ってきたが、降り始めはワンキャストワンヒットとなり、竿もラインも毛バリもとっかえひっかえ釣りをして、自分なりの検証結果を出すことができた。
人間の記憶なんて(特に私の場合)アテにならないことも多く、こういった道具類は同時に使って比べてみないとハッキリした結論が導きにくいのだ。
この三日間、かなりな数の魚を釣って(子供たちといった釣り掘りの金魚3匹を含む)得るモノはかなりあった。
しかしまだまだ日々是精進ということで、私の飽くなきテンカラの探求は続くのであった。
吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 テンカラインストラクター 吉田孝