今私の手元には、昭和47年に初版がでた「冒険手帳」という本がある。
表紙がなくなりボロボロになった初版本は実家にあるのだが、1冊手元に置き、永久保存版として取っておきたかったので、きれいそうな古書をネットで購入した。
昭和47年は、私が12歳になった年なので小学校6年生の時だと思う。友人が持っていたその本を見せてもらった時に、当時の吉田少年は、その内容があまりにも自分の必要としていたものであったため強烈な衝撃を受け、直ぐに欲しくなり大慌てで本屋に走り購入した。その後しばらくの間は、その内容をすべて記憶してしまったのではないかと思うほど、寝ても覚めても手元から離さず、ボロボロになるまで読み耽ることとなった。本は大好きなのだが、おそらく自分の人生の中で、あれほどボロボロになるまで手放さずに読んだ本は、この「冒険手帳」と「フィッシュ・オン」(開高健・著)だけだったのではないだろうか。
今となっては眉毛に唾を付けて読まないとならないような内容もそこかしこにあるのだが、そんなことはどうでもよいのだ。要するに吉田少年の琴線に触れる、いわゆる「HOW TO」が目白押しだったため、魅了されて読み続けていたわけである。
「火の熾し方」「ビバークの方法」など、現在でも通用するものもあるし、「テグスの作り方」など、これはかなり難しいだろうというものもある。しかしながら、とにかく子供の目には全てが新鮮で衝撃的だった。
そして「何でも自分でやりたがる」私は、その後同じ出版社から発行された「ふるさとの本」という書籍も見つけ、これまたすばらしき「HOW TO」の内容に魅せられ、この本を頼りに色々なものを自分で作ってみることもした。釣りの本では先にも書いた「フィッシュ・オン」で疑似餌の世界に開眼し、その後、ルアー、フライ、テンカラと変遷を経て現在に至っている。
下町育ちで自然を相手にする遊びを知らず、海で泳ぎ野山を駆け回ることに憧れを感じ続けていた私だが、思春期の始まった頃にこの本に出会ったのが幸か不幸か、その後は「アウトドア」で「遊ぶ」世界に着実に浸透していくことになった。
吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 テンカラインストラクター 吉田孝
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