(伝承系ゼンマイ胴沈み花笠・フライフック#16相当)
この日曜日にTTCでテンカラ釣りの大会が行われるので、いつもは自分が満足できればよいという、まぁどちらかというとマッタリと行なっている釣りではなく、テンカラ釣りにおける戦略と総合力ということをこの機会に少々考えてみたいと思います。
大会における戦略という切り口で書きますが、実は私たちのような、いわゆる渓流激戦区で釣りをする人にとっては、一般河川の釣りにおいてもやはりある程度戦略ということを考えて行ったほうが、釣果に繋げることできるのではないかと常々考えているのです。
いわゆる足で稼ぐ、魚のいる場所まで大きな荷物を担ぎ、体力勝負で源流域までいけるなら、それほど戦略的なことを考えなくてもよいかも知れませんが、入渓者の多い、魚の少ない、しかもその魚もスレているという状況で釣りをする場合には、やはりあれこれと考えを巡らせて対応しないと魚はなかなかいい顔をしてくれません。
そこでこのような大会の戦略を考えることによって、ふだんの釣りにその教訓が生かせれば、それは必ずみなさん自身の釣りに生きてくることではないかと思うのです。
その前に誰ですか、「俺が考えていたことをブログに書かないでよ」「そのやり方でやろうと思っていたのに〜」などといっているのは(笑)。
今回の参加者はベテランから初心者までエントリーしているので、少しでも公平を期すために、「私ならこうする」という吉田毛鉤の戦略をご参考にしていただきたいと思う、まぁ判官贔屓というか親心というか弱者にもチャンスをというか、そんなところから思いついたことですので、特に初心者の方のご参考にしていただければありがたく存じます。
前置きが長くなりましたが、いくつかの項目に分けてご説明したいと思います。
***TPOを考える***
「場所」
釣りをする場合、どのような場合もこのTPOを考えずに行えば結果がついてこないことはあたりまえですね。で、順序は前後しますが先ずは「プレイス」、場所の話からしていきます。
今回はわずか300メートルほどの区間に10数名の人が入り、そこで釣りをすることになるのですが、大慌てで川に出て、最初に自分が入った場所以外は、一般河川でいうところの「先行者アリ」ということになります。
先行者があっても釣りをしなければならない状況で、次に考えることは、その先行者が釣りをしていないところ、いわゆる「竿抜け」を狙うということになるのですが、竿を右手で振る右利きの人の後なら、自分が左手で振ると(私のようにスイッチキャストができればですが)、意外なところに魚が残っていることがあります。右利きと左利きの人の比率から考え、これ(竿抜けに関して)は間違いなく両手で振れるようにしておいたほうが有利になりますね。
私の教室で、特にどちらで振ってもそれほど差の出ていない初心者の方には、絶対に両手で振れるようにしておいたほうがよい、といっているのには、こういった理由があるのです。
「この程度の竿抜けなら誰でも思いつくわい」と仰るかたもいると思いますので、同じ竿抜けでも頭を切り替え、平面から立体に目を向けてみることも大切になってきます。
昔ながらの水面と水面直下のテンカラを行なっている人の後なら、水中や底は竿抜けになっていることがあります。人的プレッシャーで魚を追い込んでいる場合もありますが、こういう場合なら時間をおけば底にいる魚は毛バリを追うかもしれない可能性が残っていると考えます。
以上のことから「竿抜けを狙う場合、両手を使い届く範疇をくまなく狙い、水面から底釣りまで、アリの這い出る隙間もないよう、時間の許す限り余すことなく毛バリを通す」ということを行ないます。個人的にはこれを「絨毯爆撃」と呼び、自分の通った後はペンペン草一本生えない(残さない)という心構えでやることがあります。
通常こんなことをしていたら、どれだけ時間があっても足りなくなってしまいますが、限られた場所を釣る場合、自分で釣り切ったと思うまで、徹底的にやることもひとつの方法だと思います。
「時間」
次は「タイム」、時間です。
時合といった方がよいかも知れません。
一般河川で先行者が通った後でも、イブニングに炸裂なんてことはよくあることです。
水温が1〜2度変わっただけで、急に活性が高くなるということもあります。
逆に考えると、いくらいい場所であっても時合にならないと魚が動かないということもあるわけで、今回の大会のような場合は、先行者が叩いた後でも時合によって魚が釣れ出す可能性もあるので、時間の読みということも必要になってくると思いますね。
つまり今大会のように毛バリを巻くという時間がある場合、いくら慌てて巻いて川に下りても、一番乗りで人的プレッシャーは回避できるかもしれませんが、その時間に全く魚が口を使わないということもあるわけで、その辺りも駆け引きの要素になるかと思います。
絶対にイケるという自信作をじっくり巻いて、人の叩いた後でも時合で魚が出るか。
どうでもいい毛バリをサクッと巻いて、一番乗りしたはいいが時合がきてなく魚が出ないのか。ということから、冬場の気温と水温を考慮して、自分の方針を決めることが大切だと思います。
「毛バリ」
そして「オケーション」もしくは「オポチュニティ」、場合というか目的というか状況把握というか、今回の場合、私ならここに「毛バリ」を持ってきて考えると思います。
冬場、水温、水深、プレッシャーというキーワードがあります。
それをどう考慮して自分の毛バリのローテーションを組み立てるか。もちろんストロングスタイルで、一本の毛バリで攻めきるという方もいらっしゃるかと思います。
冬場に有効な毛バリはなにか。
時間による水温の変化にどう対応するか。
それぞれの水深に対応できる毛バリをどう作るか。
人的プレッシャーがあるので、いかに他人と違う毛バリ(しかも釣れそうなもの)を作り上げるか。
小さい毛バリで攻めきられたら小さい毛バリへの反応は悪くなるわけですし、どでかい毛バリをみなさんが使えばそのような毛バリにはスレてしまうのは明白です。
私のように高速毛バリ巻きが可能なら、大小何種類か巻いてから勝負に出てもそれほど時間はかかりませんが、ひとそれぞれ巻きにかかる時間も違います。もちろん毛バリのクオリティも違います。ここばかりはやはり普段から巻き癖のついている人が有利になるのは否めません。
これ以上は細かくなりすぎて、説明するのも大変なので、この辺で終わりにしたいと思いますが、要するに、時と場所と場合に応じた、状況に適応したテンカラを瞬時に見分けて行なうという、いわゆる「総合力」が必要とされるのがこういった大会なのだと思います。
釣りの技術だけではなく、プレッシャーの回避方法から自然から受け取る情報の分析力、そして毛バリを作り上げる技術に至るまで、やはり一般河川でも一定の釣果を得るには、先に挙げたような「テンカラにおける総合力」を、普段から高めておくに越したことはないということだと思います。
大会までもう少し。
冬季のカンツリでのテンカラばかりで、少々マンネリ化してダラダラしてきたこの時に、このような大会が少しでもみなさまのよい刺激になりますよう、主催者側も万全の体勢を整えて開催したいと思っています。
吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 見ている側はかなり楽しい 吉田孝
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