前回のブログのネタは「ハリの形状について」でしたが、今回はその続きの「アイ(糸を結ぶ)の角度」についてのお話です。
自分が通常よく利用するハリにオーナーさんの「桑原テンカラ」があるのですが、同形同サイズで二種類のアイの形で販売されています。
テンカラ毛バリのアイの角度については、なかなか詳しく書かれているものもなく、今から書くことも自分なりの少ない経験からの考察でしかないので、真に受けて聞かない(読まない)ようにしてください(笑)。
先ず、形状は大きく分けて二種類(ストレートとダウン)に分類されます(アップや縦アイなど特殊なものを除く)。
で、先輩方も考察はされていらっしゃいますが、以前自分は紀州の竹株渓遊さんより、ご自身が雑誌に書かれた、写真のような記事のコピーをいただいたことがあります。
(竹株さんよりいただいた資料です)
2号のハリスで魚が宙に舞うという、力強いアワセをなさるので、写真のようにハリスを取り付けていらっしゃるのですが、このことからもわかるように、アイの形状はポイント(魚の着き場ではなく、ハリ先のポイントです)までの力の伝達に関わってくるのではないかということだと思います。
自分の書いたイメージ図でご説明しますが、通常のテンカラで毛バリを打つ時や、水中に毛バリを流している時は、ラインがゆるんでいたり張っていたりと色々で、瀬畑翁のように、毛バリをループノットで結んでいたりすることもあるので、アイの形状による影響は少ないように思われます。
(ループノットで)
ただし、ドライフライのように、水面を流す時は微妙な角度の差が出ているかも知れません。
影響があると思われるのは、やはり「アワセ」だと思います。ハリ軸とハリスが一直線になっているのとそうでないのでは、アイの角度の分、アワセを入れた時に「力」の「ラグ」が出るのではないかと思います。ゆえにストレートの方がアワセが利くのではないかと。
いずれにしても自分の場合は自分なりの憶測の段階でしかありませんので悪しからず。
あくまでそのようなイメージを脳内に反映させ、そうして釣りをしていることが多いのですが、釣りにイメージは大切だと思います。
甚だ精神論のようになって恐縮ですが、自分でイメージしたことで釣りが上手くいった場合、それは自分の自信につながってくると思います。
イメージと現実がずれていても、あくまで自分の中に作ったイメージなので、それが当たれば(たとえ錯覚でも)自分の自信と経験値が高くなり、次の釣りに繋げることができるようです。
自分が色々な毛バリを作り、毛バリの迷宮にどっぷりと自分から浸かり、ああだこうだと試行錯誤を繰り返しているのは、そういった一つ一つの事象を、本やネットの情報で簡単に答えとして得るのではなく、自分で試してみて理解したいからだと思います。自分の場合は単純に答えを教えてもらうよりも、そうしているのが楽しいのです。
ダメかもしれないけれどやってみる。で、ダメだったら「やっぱりダメじゃん」と納得。だけど他人から「それはダメだよ」といわれても納得がいかない。まぁ頑固なのでしょうねきっと。
自分がテンカラを始めた時も、人から薦められたことに対しても、失礼ながら全て猜疑心を持ち、とにかくあれこれとやってみました。それはそれは大変な時間もかかるし、使ってダメだったというラインや道具など山のようにあります。毛バリ巻きは最初は自己流でしたし、キャスティングもできるようになるまで、一度も誰かに教わったことはありません(できるようになってから聞きましたけど)。
とにかくひたすらああだこうだと試行錯誤をしていると、ある時上手くいく時があり、後々そうなったいきさつを名人の方などに伺うと「ああ、やっぱりそれでよかったんだ」と、自分で納得ができることが多々ありました。
時間的余裕のない方や、早く上達したい方もいらっしゃいますので、一概にいえることではないのですが、あくまで自分の場合はということで。
ハリのアイの話から、話が横道にそれてしまいましたが、自分の持論として、「趣味とはいかに自己満足できるか」ということで、他人と競うことでもありませんし、上手くさえなればよいという「上達が全て」ということでもないと思っております。
上手いに越したことはありませんが、「自己満足」と「楽しい」ということ。この二つを満たすために、「ハリ」に関してもあれこれやっているのだと思いますね〜。
もうひとつ話がそれますが、時は1976年、当時の自分がドハマりしたアメリカのドラマがあって、日本名では「燃えよ!カンフー」(邦題ベタ)という題名でしたが、オープニングに流れていた言葉を思い出しました。
“I seek not to know all the answers, but to understand the questions.”
(私が物事を追求するのは、答えを得るのではなく、そこに起きた問題を理解するためです)
今でも大好きな言葉です。
吉田毛鉤 かなりな趣味人 吉田孝