私見 「竿と合わせ」

八ヶ岳のSさんより、竹竿の話でメールをいただいたのをきっかけに、「ブログネタ」を思い付きました。



テンカラ竿ならずとも、釣り竿には全て「調子」というものがあります。
今回は調子と振込み、調子と誘い、調子と合わせについて思うことを書いてみます。
本来は調子の他に「硬さ」との兼ね合いもあるのですが、両方組み合わせて話すと、それこそとんでもないページ数を裂かないといけなくなりそうなので、今回はあくまで大雑把に、初心者の方の竿を選ぶ際の参考程度のお話にしておきます。
テンカラ竿に関しては、色々とありますが、実際は釣り方、ハリの形状と同じく、その人その人の好みによるところが多く、しかしながら初心者の場合は何が何やらわからずに、教えてもらった人や、釣具店で勧められ、あてがわれたものをそのまま使用されていることが多いと思います。

それぞれのメーカーがそれぞれに設計して売り出しています。どこのメーカーがどうのこうのという話は、差し控えさせていただきますが、これからお話する事も、あくまでご自身の手で確かめ(確かめるには私のようにかなりな出費を伴いますが)、自己検証の上、ご自分に合った竿を選ぶ為の参考までにという事にしてください。

その一「調子と振込み」
竿に重量(糸、魚)が加わった時に、どのように(どこで)曲がるかが、その竿の調子ということです。
先端部に近い部分が曲がるものを先調子、手元に近い、竿の真ん中あたりが曲がるものを胴調子といいます。その中間に六四とか七三とかの調子があります。
同じ重さのラインを、先調子の竿と胴調子の竿で飛ばし比べるとわかるのですが、軽いラインを飛ばす場合は、竿の弾力が充分生かせる、胴調子の竿の方が、飛ばす時の「力」があまり要りません。
その代わり、重量のあるラインを飛ばすには、ラインの重さに竿が負けてしまう事もあり、先調子の竿で振り込んだ方が上手くいくと思います。このことは、「柔らかい竿」と「硬い竿」とニュアンス的には近いものがあると思います。

自分の基本的な考えでは、
先調子、硬めの竿では、重量のあるライン(視認性のよい)を組み合わせ、方向性を出しやすい特性を生かし、ピンスポットで打ち込むような釣りに向いていると思います。
そして胴調子、柔らかめの竿では、軽いラインと組み合わせ、比較的長いラインを使い、自然に流すような釣りに向いているように思います。


その二「誘い」
誘いに関しては、竿を上下に動かして、毛バリを動かしながら釣ることになりますが、この場合も、先調子、硬めの竿では反発力が強すぎて、動かした竿から毛バリへ伝達する力が強いので、誘いが大きくなる感じがします。胴調子、柔らかめの竿では、誘いの動作(竿)が胴が振れることにより力が吸収され、意図しているより動きが少ないように感じます。まぁ、「竿によって自分の操作を変える」という事で、この問題は解決できると思います。


その三「合わせ」
さてタイトルの合わせとの関係ですが、合わせは「胴」に「力」がいかにかかるかに左右されていると思います。つまり「力」を入れて合わせをした時に、胴調子、柔らかめの竿では胴が曲がり(力を吸収し)、合わせが利きづらくなります。反対に先調子、硬めの竿ですと、胴の部分の曲がりが少ない為、合わせが利きやすいともいえます。


その四「総評」
簡単にご説明した、上記のことからおわかりの通り、全て一長一短、これで完璧などという竿はないのです。
源流域から本流まで、川幅釣り方全て違います。源流師に教えてもらった釣り方を、そのまま本流でやっても効果がありません。またその逆に、本流での釣り方で源流域で釣りをしても上手くいくハズがないのです。しかしどうしてよいかわからず、そのまま釣りを続け、しっくりしないと思い続けていらっしゃる方もけっこう多いのではないでしょうか(過去の自分の教室には、そのような方がずいぶん参加されています)。

フィールドも釣り方も違うのに、通り一遍で「これでいい」なんてことはあるわけがありません。
なにより自分の釣りに合った、自分の釣りを展開していかないと「テンカラ」そのものが、他人の釣りを自分がやっているだけということになり、趣味として面白くないと思うのですよ。

竿それぞれの特性を理解して、いつも自分が行っている釣り場や、釣り方に合ったものを「自分で選ぶ」。選び方がわからなければ、人に聞いたり調べたりする。しかし鵜呑みにしないで、あくまで参考にして、自分の判断で自分の道具を選ぶ。毛バリそのものも同じ事で、販売している自分がいうのも何ですが、他人の毛バリを使用しているうちは「テンカラ」の楽しみを半分しか味わっていないと思うのです。

道筋はベテランに聞く、しかし釣りをするのは自分自身です。自分で組み立てた事であれば、失敗を繰り返すのも楽しいものです。安直に答えを教えてもらうのと、試行錯誤をして自分で答えを得たのでは、得た時の喜びは雲泥の差です。

竿選びから毛バリ作りまで、みなさんそれぞれの釣りを組み立てて、テンカラの本当の楽しみ(愉しみ)を味わってください。

吉田毛鉤 楽しいテンカラ伝道師 吉田孝

*追伸です*
最近竹竿作りに興味があるのは、上記の事の集大成が、「自作の竿に自作のライン、自作の毛バリで天然魚を釣る」ということではないかと思うからです。
今年の冬は竿作り。来年はオール自作で自己満足の極地に到達したいものです。


コメント
梅雨も明け、私のテンカラの上達スピードよりも魚たちの学習スピードがの方が早く、それを見越してライン・ハリスを普段より細く(ハリスは長く)しましたが、源流調子(たぶん8:2)の竿にはミスマッチだったようでした。まともに飛ばず、今日はかろうじて(執念で)坊主は免れたという結果でした。竿とラインがマッチしないと、結構ストレスを感じ、この分野のお勉強も疎かにできないと痛感しました。
  • by 品川K
  • 2011/07/13 8:55 PM
ハンドルネーム改め「オニチョロ偏執狂」は明朝早くより土曜日まで秋山郷の谷に入ってきます。
絶対に毛鉤オニチョロで釣りたい!
今回は川虫は採らない!
もし釣れなかったら各釜に石を投げ込んでやる覚悟で!
  • by 秋山郷U
  • 2011/07/13 9:22 PM
吉田毛鉤会源流部のお二人からのコメント、ありがとうございます。

先ずはKさん
無事ご帰還お疲れ様です。
Kさんの感じた通り、道具の何が良くて何が悪いと言うよりも、「しっくりこない」と言うのが一番具合が悪いのです。
ま、自分の釣りのリズムが作れないと言うか、リズムが崩れるというか。

今度サロンでお会いした時には、タックルシステムについて、じっくりお話し致しましょう。

そしてオニチョロ偏執狂のUさん
見事自慢のオニチョロ毛バリで、一尾でもいいので掛けてください。
期待していますよ〜。

ダメな場合はご連絡を。投石手伝います(笑)。
  • by 吉田毛鉤
  • 2011/07/13 9:34 PM
本日のブログネタ、特に「総評」は、テンカラに悩んでいる人に是非読んでもらいたいと思います。テンカラには、万人に当てはまる「型」はないのかも知れません。また、テンカラはそれを許してくれる釣り方なのではないのでしょうか?そこが「フライ」との違いだと思いますよ(釣り方の価値判断ではありませんよ)。「いいな」と思って、人のマネをする、そして自分にあった(好きなフィールドにあった)「型」を創っていく。まさに一人一派、全国多種多様です。しかも、ベテランだろうが、入門者のアイディアに感心して、次の釣行には取り入れてる(私が勝手に「師匠」と呼んでいる渓愚さんがそうですよ。)
吉田毛鉤会に入会したいと思ったのは、吉田さんとか、会の他のメンバーの人たちから、このような感覚を共有できると感じたからなのでしょうね。入会して、本当によかったと思ってます。


吉田会長の追伸に対する「追伸」です。
実は、私も竹製、しかも自作もの(源流藪沢仕様)ものが欲しいのです。自作でテーパーライン(源流藪沢仕様)も欲しいのです。オフのTTCで、自作テーパーライン作成講習会でもやりませんか?レベルラインを使ってますが、自作のテーパーラインで藪沢で釣ることにすごく憧れてます。
いや〜、いさおさんが上手いこと追撃してくれました。

テンカラは元々の発祥は全国各地、その土地土地に合った釣り方を、職漁師の人達が長〜く行ってきた釣りです。

ですからすでに最初から千差万別のやり方なのです。

共通項は「竿」「糸」「毛鉤」。

なので、統一したやり方では無理が生じて当たり前なのです。

昔と違い、趣味として行う自分達は、車や電車を利用して、色々な釣り場に出向く事ができます。

色々な場所に行くと言う事は、必然的にその場所に合った釣り方を考えないと釣果に繋がらないわけで。

自分が会を立ち上げたのは、当初はただただ初心者のみなさんと「楽しくテンカラを」と思っただけでしたが、入会してくるメンバーに、それぞれの道のエキスパートも増え、多くの役に立つテンカラ情報が得られるという事にもなってきました。

自分の釣りを仲間とやるのではなく、仲間の持っている色々な情報を共有し、それぞれのテンカラを作る助けになれば、これに越したことはありません。

百人百様から百人百様へ。
原点から紆余曲折。進化した多様性。
自分で何でもあれこれできる。

この「多様性」こそが、自分は
「テンカラの魅力」だと、最近つくづく思っています。
  • by 吉田毛鉤
  • 2011/07/14 4:30 AM
一日中暑いです、東京。
今日は週二日の勤務日です。
元々竿は「延べ竿」と聞きます。
その方がバランス(調子)が良いからです。釣り場に行くのに交通機関を使う今日、継ぎのある竿が出来た、なんて江戸竿師寿作師匠に聞きました。

竹竿、グラスやカーボンと違い取り込みが良いんです。調子を見るとグラスにも方向性があるんですが、カーボンに至ってはそれがない。自作の経験が少しある私としては「総竹製テンカラ竿」普及出来ればと思います。
  • by 八ヶ岳のS
  • 2011/07/14 9:44 AM
竹製のテンカラ竿は、手感でアタリを取るというよりは、目で見て合わせる竿なので、感度よりも振り感重視という作りだと思います。

現在のカーボンロッドよりは当然重量もあります。

先日郡上の市橋先生に作り方を見せていただいて、長さは3メートル、三本継ぎというのが、竹の重量と携帯性、そしてテンカラ釣りでの長さと考え合わせてベストなのだなと思いました。

竹の乾燥の問題もありますが、シーズンオフ、毛バリ巻きと合わせて、竿にラインの製作をして、次ぎの開幕にはオール自作で釣行したいですね〜。
  • by 吉田毛鉤
  • 2011/07/14 2:47 PM
オフは忙しいですね、まずはライン、次は「竹取の翁」になりましょう。どんな「かぐや姫」に逢えるか楽しみですね〜。
  • by 八ヶ岳のS
  • 2011/07/14 3:47 PM
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