GWの期間中、同じ渓に3回日帰りで入った。

 

 

成魚放流の魚は管理釣り場やテンカラ教室で相手にしているのでお腹いっぱい。シーズン中のプライベートでは、日帰り源流釣行が基本で、しかも放流魚のいない場所へと出かけることが多い。

 

理由はひとつで、数が釣れなくても、大物が釣れなくても、長い林道歩きがあっても、危険な場所もある渓に出かけるのは、「美しい在来の魚」が見たいからだ。

 

狭い渓でギリギリの生存状態を保っている在来の魚は、まだまだ漁協も科学的考察などしていなかった頃に、遺伝子を調べることなく養殖された魚を日本のアチラコチラに放流したために在来の魚との交配が進み、純粋な血でなくなっている話を聞く。

 

この釣りを長くやっていて、在来の魚しかいない場所に通っていると、支流ひとつひとつでも、パーマークの形状や形や色が違うということが分かってくる。

 

最近では水産試験場の力を借りて、その河川の遺伝子を持つ魚を養殖し、その場所に放流しているところもあるようだが、管理釣り場ならいざ知らず、自然の渓流では、ただ魚がたくさん釣れさえすればよいという成魚放流主体の形には考えさせられるものがある。

 

数も少なく遺伝子もデタラメになっていない渓では100%のリリースをしているのもそのためだ。
未来永劫渓の美しい在来魚には生き残って欲しいが、体長制限や禁漁期などのルールを無視したキープ派の人も、取り締まりのユルイ日本の渓では、未来永劫なくならないことも想像するに難しくないのが悲しいところだ。

 

 

話しは変わり、「管理釣り場の魚と違い、天然の魚は毛バリを選り好みしない傾向がある」というザックリした考えがある。私も『基本的には』と前置きをして、教室での講義でこのことを説明するが、自然渓の天然魚でも、やはりキャッチアンドリリースを繰り返され、入れ替わり立ち代わり人が入る渓では、魚もプレッシャーがかかり、日を追うごとに釣り難くなってくる。

 

毛バリの着水でビックリしたように遁走する魚
ラインはおろか、ハリスの影にも怯える魚
逃げ方も単に上流に向かって走るだけでなく、同じ場所をクルクルと狂ったように逃げ惑う魚

 

こんな状況になってしまうと、いくらアプローチに気を使おうと、どんなに小さな毛バリをハリスに結ぼうと、お手上げになってしまうのである。
雨が降ってきたり、例えばイブニングタイムとなり、ステージが変われば再び釣れるようになるとは思うが、やはりGWのように、多くの釣り人が入る渓ではいくら天然の魚といえども、尋常ではないほど毛バリにスレてしまうのである。

 

今回のGW中、数日おきに同じ渓の同じ場所に入り、竿抜けを含め重箱の隅をつつくように釣りをしてみたが、露骨に魚の反応が変わるのを自分自身の検証で実感することができた。
古いテンカラの本には「GWを過ぎると魚が釣れなくなる」と記されていることがあるが、まさにその通りで、4月中旬までの魚の反応とは明らかに違うことがよく理解できた。

 

次にステージが変わるのは『入梅』。気温も上がり水生昆虫の羽化も活発になり、沢山の餌を食べ、産卵後のくたびれた状態から体力を回復した魚たちに会えるのが楽しみである。

 

 

さてさて、今度の土曜日(13日)は86回目となるテンカラ教室の開催日だ。
今日の記事の内容なども含め、いつものようにテンカラの基礎からじっくり解説させていただこうと思っている。

 

吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 テンカラインストラクター 吉田孝