釣果情報は真に受けない

 

 以前雑誌の連載時(毛鉤異魚種行脚という企画で、テンカラのシステムで淡水海水問わず、何魚種釣ることができるかというのをやっていた)、毎回のように初めての釣り場にいくことになったので、その都度各方面から情報を集めて取材を受けていた。

 しかし、本当にこの情報に何度も苦しめられたのである。

 

 たとえ好釣果の時と同じ条件(天候気温水温水質水量風向餌料活性等々)であったとしても、私たちの見たり感じたりすることのできない何かのファクターが別の方向に働くと、同じ条件でも釣れなくなってしまう。

 

 情報を提供している側がいいかげんなことをいっているわけではない。本当にその時にはそのような釣果があったわけだ。これは私が情報を出す時も同じである。釣りという生き物を相手にしていることをやっている以上、このことは仕方がないことだ。

 
 同条件ではないのだから、他人の釣果と比較する必要もない。その日その時の釣り場と魚の状況や状態を判断し、自分で対応策を考え、それででた答えに自分で一喜一憂すればよいと思っている。

 

 私がいつも入渓している場所でも、他人の釣果は本当にあてにならない。あてになるのは釣り場の状況のみ。釣り場の情報はしっかりと入手しておくと、色々と役に立つことがあるし、危険回避にもなる。

 

 それでも他人の釣果に振り回され「スケベ根性丸出しで撃沈〜」などということもある。ということで、私もまだまだ人間ができていないのであった(笑)。

 

 吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 テンカラインストラクター 吉田孝