新メンバー限定『沢テン』講習 

 台風襲来。自然の力にはあらがうことができないので、少しでもその力の及ばない場所でジッと通り過ぎるのを待つほかない。こればかりはどうしようもないことである。

 何年か前に雨の中、増水気味の沢で転倒し、左手の中指を脱臼したことがある。今もその指は真っ直ぐには伸ばすことができない。その時は多忙の中ようやく時間が作れたと、ムリして出かけてそんなことになったのだが、『やはりムリは禁物だ』と自戒した時でもあった。毛バリを巻くのには全く影響のない側の手でもあるし、私のキャスティングはグリップを握るのにほとんど力を入れていないこともあり、左手でのキャスティングの時にも曲がった指の影響が出ないのでそれだけは助かっている。

 ということでご注文いただいていた販売用の毛バリも頑張って巻き、量は少しだが完成した。早々に代理店に送らないとならない。それが終わればまた次に取りかからねばならないため、自分用の毛バリを巻いているヒマがない。毛バリばかり巻いて生きているわけではなく、他のことでも忙しいので、まぁそれはそれで仕方がないとあきらめている。

 今週末は当吉田毛鉤会のメンバー限定で、奥多摩の沢への入渓時、どんな時でもテンカラで安定した釣果を得るにはどのようにすればよいのかという、沢テンの基礎中の基礎ともいうべきことを伝える『特別講習』を行う予定となっている。そのためのテキストも書き、5名の参加者と共に入渓する予定だが、今週の雨の量がどうなるかもわからないため入渓場所も決まっていない。今年は大雪に大雨、そして台風でロクに入渓できないこともあり、人間に攻撃されて釣られることなく、ストレスフリーで沢に留まっている魚たちにとってはありがたいことになっていると思うが、こちらのストレスは溜まるばかりだ。これも自然のなせることなのであきらめてはいるのだが。




 しかし、ムリはしないが適度なところで入渓しないと、それこそ私自身にムリがくる。ストレスが溜まって日常生活がギクシャクしてくる。生業先でイライラして部下にあたり、帰宅後家族にもあたり散らすなどということではいただけないので、ムリはしないが自制心が抑えきれなくなる前に、どうにかして渓に入ることを考えなければならない。というわけで今週の雨量が気になってしかたがないということになる。

 里川やカンツリでテンカラをしてもほんの少しは憂さは晴れるが、やはり自然の渓(沢と呼ばれる小渓流)にはかなわない。沢の美しさ、沢の空気感、沢での食事に釣れる魚の美しさ。特に奥多摩の小渓流の中には、本当に時間を忘くしていたくなるような場所もある。そんな美渓での講習がなんとか開催できるよう、心の底から祈る今宵である。


吉田毛鉤 吉田毛鉤会代表 テンカラインストラクター 吉田孝



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