源流釣行の場合、緊急時のことを考え、手ぶらで川に立つということはない。

 

そこで何かしらのザックに荷物を入れて背負うことになる。

 

その時にいつも頭を悩ませるのが、行く先々によって変わる荷物の質と量のみ問題がある。


普段の日帰り源流釣行の際には、何かあった場合の撤退までの時間も短く、体力もそれ程使わないため、ザックにテキトーに荷物を突っ込み、さらに不要なモノまで入れて、荷物の重量化を図っている。

 

(普段の釣りでも10キロは担ぐようにしている)


重量化は鉄下駄よろしく(←古いな)身体に負荷をかけ、日常の体力作りのためだ。

 

(撮影機材も色々とあり、その時によって変えている)


 で、遠征釣行やガチの山岳渓流(片道6時間超え、小屋泊まりやテント泊など)の場合は、荷物の重さを絞り込んでいくのだが、普段重さのことはロクに考えず、雑なパッキングをしているために、絞り方を忘れ、しかも心配性なので、結局あれもこれもと持っていくことになり、毎回軽量化とは程遠い状態になってしまっている。


7月末の黒部薬師沢釣行では、荷物が18キロ(水なし)、片道9時間の道のりだった。

 


途中重さでかったるかったが、帰宅してからの筋肉痛や疲労感はなかったので。この重さにはまだまだ耐えられるのだと思う(こんなときのために、一応週に何度か走ってはいるが)。

 

(遠征釣行時の悩みは何を履くかだ)


 さてさて、次の週末も遠征釣行の予定を立て、山小屋の予約もしてある。

 

 しかし天気予報がビミョーなので、現在静観しているところだ。


 そこでこの機会に、荷物の軽量化に着手してみることにした。

 


 先ずはエマージェンシーパックから開始した。

 

 以外に重さを感じたのが『予備の電池』『ナイフ付きのマルチツール』だった。

 

 

 行動日程を考慮して予備の電池を減らし、マルチツールも軽量化してみた。

 

 

 とはいえなかなか絞りきれるものではなく、長い戦いになりそうだし、結局のところ、身体に頑張ってもらうほかなさそうである。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

 

 

 

 テンカラ教室の講師を始めたのが2009年。

 

 このテンカラ教室、今はコロナ禍で毎月開催はできなくなったが、10年以上に渡り基本月イチで開催した。

 

 開催した回数は120回を超えた。

 

 この10年の間、テンカラの道具や釣り方についても、ひたすら自己検証を続けてきた。

 

 自分の釣りだけなら、好きな場所にいき好きなように釣りをしていればよいが、他人に教えるとなるとそうはいかない。

 

 生徒さん一人一人は、年齢も性別も体力も違うし、釣り場やターゲットなど、その人の希望するテンカラはみな違う。

 

 それをひとくくりにこちらのやり方を押し付けるのは不親切というもので、何より通り一遍の釣り方だけで、簡単に魚が釣れる程、現在の釣り場環境は甘くはない。

 

 

 人工的に作られた堰堤に挟まれ、ただでさえ上流下流に行き来できない魚を、キープ派に持ち帰られ、数少なくなったところにたくさんの人が押しかけるので、魚ヘのプレッシャーは高まるばかりだ。

 

 そこで私の教室では、色々な場面に対応するにはどうすればよいのかを解説することにしている。

 

 竿の長さはどう選べばよいのか。

 

 ラインとハリスの材質や長さは、どう使い分けるのか。

 

 毛バリの選択と使い方、毛バリの作り方はどうすればよいのか。

 

 個々の状況に応じられるよう、これからも自己検証を続けていきたいと思っている。

 

 

 ここ関東地方でも、今日は少しだけれど雨が降った。

 

 明日は教室。

 

 この雨で多少なりとも魚の活性が上がってくれることを願っている。

 

 吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

 

 先日放送になりました、釣りビジョン『渓流ギャラリー』の中で、私が使用していました【金剛やませみ9尺】は、コンパクトにキャスティングできる、私好みの竿に仕上げてもらいました。

 


 源流域の小渓流といえども、淵や静かな水面の釣り場もあり、魚へのプレッシャーを軽減させるべく、「もう少しだけ離れた場所から毛バリを振り込みたい」という要望に応えていただき、【10尺】の竿を作ってもらいました。
 

 これでさらに守備(攻撃)範囲が広がります。

 

 【金剛やませみ10尺】を、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


 (ちなみに今期のカタログの表紙、僭越ながらモデルをやらせていただきました)


https://www.sakura-rod.co.jp/%E6%B7%A1%E6%B0%B4-%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%8B%E3%82%89-%E3%81%9F%E3%81%AA%E3%81%94%E3%81%AA%E3%81%A9-1/%E9%87%91%E5%89%9B-%E3%82%84%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%81%BF/

 

 吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

【フジノラインよりテンカラスターターキットが発売になります】

 


フジノライン × 吉田毛鉤『テンカラスターターキット』が発売になります

 


テンカラ入門者にオススメのオールインワンキット

 


私も現在懸命に毛バリを巻いています


どうぞよろしくお願いいたします
(発売になりましたらあらためてお知らせいたします)

 

【4月17日(土)午後9時】

 

 

【釣りビジョン・渓流ギャラリーのスケジュール】

 

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

finetrack TOKYO LIMITED BLACK

 

 

私も愛用しています

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よろしくお願いいたします。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

発売予定は7月上旬になりました、神田櫻井釣漁具製のテンカラ竿『金剛やませみ』。

 

この2シーズン、私が源流域で渾身のテストを繰り返した竿ですが、詳細がわかりましたのでお知らせします。

 

 

全長270センチ

重量46グラム

仕舞寸法28センチ

穂先径0.6ミリ

 

となります。

 

 

よろしくお願いいたします。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

 

 

 

 昨シーズンはほとんどの源流釣行と管理釣り場にこの竿を持ち込み、全長、仕舞寸法、調子のテストを繰り返し、最終的な仕上げに至るまで話を詰めて、納得のいく竿の完成となりました。

 

 今回の竿は私の好む山岳渓流や、源流域の小渓流での扱いやすさを第一に考えました。

 

 コンパクトなキャスティングとアワセの効きやすさ、取り込み時に魚を遊ばせないよう、先調子で粘りのあるバットの竿にしていただきました。

 

 

 ザックの横に取り付けた竿が、その辺に引っ掛かるのが嫌なので、仕舞寸法は竿栓を含めても30センチを切る長さにしてもらい、ザックの中にも余裕で入ります。

 

 藪沢でも取り回しのよい2メートル70センチの長さ。

 

 竿のスペック以外での一番のこだわりは、日本の渓に合う落ち着いた色あいの塗装にしてもらったことです。

 

 しっとりとした和竿のような雰囲気もあり、何よりこの竿を愛でながら酒が飲める(笑)という竿となっております。

 

 メーカーさんからもGOサインが出ましたので、発売前の前宣伝としてご紹介させていただきました。

 

 発売日等の詳細は、わかり次第当ブログでお知らせしたいと思います。

 

 神田『櫻井釣漁具』製の新しいテンカラ竿をお楽しみに!

 

 

 吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

 

 

 

昨年の大型台風で被害を受けてからというもの、常設のテンカラ教室と毛バリ研究会がまともに開催できなくなった。

 

折りを見て形を変え、何回か開催したが、まともな形ではできていない。

 

そこへきてこの(コロナ)騒ぎが発生した。

 

前回の教室も屋外での開催となり、思うようにはならなかった。

 

ご参加いただいた方々からは、教室後、メールやメッセージで個別に質問を頂戴したので、補足はそこで回答させていただいた。

 

前回の参加者はみなさん毛バリ巻きもやりたいとのことだったが、毛バリの教室を開催できないのがもどかしい。

 

そんなこともあり、前回前々回と源流釣行の装備を紹介させていただいた。

 

そこで今回は毛バリ巻きの道具の話を。

 

作り方の細かで微妙なテクニックについては、実際にお見せしないとご理解いただけないので、先ずは基本的な道具をご紹介してみる。

 

ハリを挟んで保持するタイイングバイスは、またの機会に説明することにして、今回は最初に最小限揃えたほうがよいと思うものを紹介する。

 

(接着剤は専用のものが使いやすいが、なければ瞬間接着剤でも)

 

タイイングの最小限の道具は写真の通り。

 

「ボビンホルダー」

「ハサミ」

「ハックルプライヤー(大小)」

「ニードル」

「ハーフヒッチャー」

「ヘッドセメント(なければ瞬間接着剤)」

 

 

 

スレッド(糸)とボディ材は色を合わせる。

 

(左がフェザント、右がコックネック。保管の際、虫除けは必ず同封しておく)

 

ハックル(蓑毛)は2つのタイプが欲しい(ひとつはコックネックもしくはコックサドル、もうひとつはフェザント「キジ」に代表されるソフトハックル)

 

(マグネットやマグネットシートは必需品。これでハリの紛失が防げる)

 

これらの道具と材料があれば、最初の写真にあるような2つのパターンの毛バリを巻くことができる。

 

後は色とサイズを変えてバリェーションを増やしていく。

 

胴体(ボディ)と蓑毛(ハックル)と頭(ヘッド)の3部で構成されている「基本的な毛バリ」が巻けるようになれば量産も可能だ。

 

釣り場での弾切れの不安に駆られることなく、安心して釣りを続けることができる。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

(1)に引き続き装備の話。

 

○エマージェンシーパック

日帰りであれ泊まりであれ、時には生業の出張まで、これひとつ持っていれば安心できるエマージェンシーパックを用意してある。

 

中身は

『常備薬』(飲み薬に傷薬、虫刺され、打撲や筋肉痛の薬)

『湿布薬とテーピングのテープ』

『綿棒』

『爪切り』

『ポイズンリムーバー』

『裁縫道具』

『予備電池』

『ヘッ電もしくは小型のフラッシュライト』

『レスキューシート』

『小型ツェルト』

『細引き』

『折り畳みハサミ』

『ライター他着火用具』

『予備のホイッスル』

●別途『非常食もしくは携行食』

 

この位あれば、万が一のアクシデント(意識があれば)が発生しても1晩か2晩持ちこたえることができるだけのものを揃えておく。

特に低体温症に気をつけたい(夏でも疲労凍死はありうる)ので、アルミ蒸着のレスキューシートは持っていたほうがよいと思う。

 

○塩と砂糖

私はコーヒーが好きで、渓でもよく飲むが、(疲労からくる低血糖の予防的措置として)普段は入れることのない『砂糖』を入れることがある。

緊急時の食料代わりにも。

塩はどこぞの神社で入手してきたお清めの塩を。

大量発汗の時に舐めたり、調理にも使うが、なんとなく雰囲気の悪い時には、気休めかも知れないが周囲にまく時もある。

どちらもナルゲンのボトルに入れて持参している。

 

 

単独行の方は是非とも『ココヘリ』に入会(保険)しておくことをオススメする。

登山者には一般的なココヘリ、年間4000円弱(だったかな)で、遭難、行方不明時に自分の位置情報がわかるため、責任ある大人なら持っていたほうが良い。

 

非常事態宣言が出て、自宅籠城を余儀なくされた方々もいると思う。

 

この機会に一度自分の入渓用品を見直してみるのも良いだろう。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝

続けているテンカラ教室にご参加いただいた方々から、源流釣行にいきたいという話をよく伺うので、備忘録も兼ねて解説してみようと思う。

とても1度では書ききれないので、機会があれば続きを書こうと思っている。

 

源流釣行の装備(1)

(あくまで私の場合。基本的に日帰り単独行の説明になる。クライミングの要素の強い場所には行かないので、それらの場所に必要な用具類は省く。釣具一式は、釣り場に釣り方、ひとそれぞれ違い過ぎるので別の機会に)

 

★装備

 

●頭と足(回り)

ひどい滑落をしたらアウト(命)なので、ヘルメット不要の方はご自由に…、私の場合はつまらない場所でのちょっとした転倒や、枝やオーバーハングした岩の下を潜った時の擦り傷等の怪我を防ぐため、単独行の場合は着用するようになった(怪我して動けなくなった時、救助を呼びにいってくれる人がいない)。

何より少しの雨なら防ぐことができるのと、帽子と違い頭に密着しても蒸れず、快適さも含めて愛用している。

シーズン中、3月の寒い時期以外はウェットウェーディングだ。

沢靴とネオプレンソックスかウールのソックス、スネ当てのゲーターの組み合わせがほとんど。

水の汚い場所ではヒップブーツやウェーダーを着用する場合もあるが、基本的には源流域は足元の不安定な場所だらけなので、寒い時期以外上記のものはオススメできない。

沢靴のソールはフェルト派。

ラバーソールはスリップする時「ズルズル」ではなく、「ストン!」と一気にくるので、コケた時の衝撃がかい大きい。

それが理由で何度か小さな怪我をして以来、「苔の少ない沢へのアプローチが舗装路を長時間歩く」以外では使わなくなった。

フェルトソールで滑りそうな場所を想定して「脱着式のチェーンスパイク」を持っていく場合もある。

手袋は必携。

入渓退渓時の泥壁や草付きの上がり下がり、ちょっと手を付いた時の掌の怪我防止、もちろん防寒対策にも。

 

(春と秋の装備)

 

●ロープとスリング

ガチャガチャ(登攀用具)は使わないとはいえ、緊急時、例えばちょっとした高い場所にうっかり上り(ホントはうっかりはダメ)、下りるのに危険を感じた場合にロープを使う場合もある。

場所に応じて10メートルから20メートルを持参している。

スリングは自己確保(セルフビレイ)用に(初心者の同行者がいる場合はその人の分も含めて。120もしくは180センチ)。

カラビナも数枚持参している。

 

(ロープとスリング、カラビナ各種)

 

●浄水器

飲料水はとにかく重いため、できれば持参したくない。

登山ではなく源流釣りなので、基本的に綺麗な水はふんだんにある。

さすがに原虫類や細菌類の心配があるため生では飲まないが、煮沸もしくは浄水器を通せば大丈夫だ。

以前はボトルタイプのものを使っていたが、最近は写真のものを愛用している。

折りたたみ式の水筒とセットにしても軽量なのでありがたい。

 

(ソーヤーの浄水器、軽い)

 

●クマ対策

爆竹は破壊的な音響だが一瞬で終わる。

なので最近は100円ショップで買ったおもちゃのピストルを使用している。

クマ学者の提唱する「クマよけで一番効果のあるものはスプレー」。

ここ最近は里まで平気で下りてくるヤツもいるので、クマ対策は絶対にやった方がよい。

私も何度か目撃し、書籍にエッセイとして書いたことがあるが、ホイッスルは緊急時や仲間との合図にも使うので必携である。

 

(ホイッスルはクマ対策だけでなく、緊急時にも使う)

 

●地図とコンパス、GPS

スマホの山地図アプリは使わない派。

スマホには山や釣りに関係のない、日常生活で必要な重要なデータも入っているため、紛失や落下、破損が嫌なので、財布と一緒で下山するまでザックから出すことはない。

写真撮影には一眼レフを持っていくため、スマホでは撮らない。

GPSもハンディを持っていくが、電化製品は信用ならないため(電池切れ、破損)、バックアップとして紙の地図とコンパスを持っていく。

ちなみに保険として、登山者にはおなじみの「ココヘリ」(検索すれば直ぐに出てくる)も持って入渓している。

 

(ファーストエイドキットの中身はいずれ詳しく)

 

●ファーストエイド(エマージェンシー)キット

怪我をして動けなくなっても、1日2日はその場で何とかしのげるだけのものがキットには入っている。

(薬品各種、テーピング用テープ、ポイズンリムーバー、ツェルト、保温用アルミシート、ライト、着火用品、裁縫用具、細引き、塩、砂糖等)

 

食事の道具やレインギア等まだまだ持参するものはあるのだが、とにもかくにも事故や遭難を想定した時に何が必要かを考えてみれば持っていかねばならないものは何なのかがわかる。

それらをコンパクトにまとめ、日帰り釣行の場合で30リッターのザック(私は防水ザックが好み)に入れている。

 

源流釣行には必要なものが多い。

ザックも余裕があった方がよい。

何より必要なものは、健康な身体と知識だ。

知識は登山や沢登りの書籍やWEBから得られるし、登山の学校に通えば色々と覚えられる(私も一昨年、懸垂下降の教室から登山と医学の教室等にいくつか参加してみた)。

しかし健康な身体と体力だけは自分自身で努力する他ない。

不慮の事故は仕方がないとして、持病があったりして、それが理由で渓で具合が悪くなれば、単独なら死の確立も高くなる。

複数の場合は同行者に迷惑をかけることになる。

走るのが大嫌いな私も源流釣りを続けたいために、週に最低2回、各5キロのランニングを欠かさないようにしている。

源流釣行は本当に楽しい、しかし危険とはいつも隣合わせだ。

装備と知識と体力を持ち、これからもこの楽しい遊びを続けていくつもりだ。

 

吉田毛鉤 テンカラインストラクター 吉田孝