管釣りテンカラの楽しみ
テンカラを長くやっていて、多くのテンカラマニアと接していると
どうしても自然渓流唯一という考えの方が多く見受けられます。
今回は、「まあまあそうおっしゃらずに」と、「管理釣り場でのテンカラ」について少しお話をしたいと思います。
自然の渓流に釣りに行き、天然のヤマメ、イワナに出会うことは本当に嬉しいことです。しかし、そこに到達するまでには、「技術や体力、道具、竿の振り方から毛鉤」に至るまで、ひとかたならぬ経験や準備が必要となってきます。
他の釣りをやっていてテンカラに興味を持った人、そして何より全く釣りを経験していない人が、テンカラという釣りに興味を持ち、この釣りに入っていこうとする時に、はたして自然渓流に、たった一人でいきなり行って、魚と出合うことができるでしょうか。
水没や落石、転倒に滑落、蛇、熊、蜂などの危険な生物も待ち受けています。始めての魚に出合うまで、何年もかかった人も知っています。ベテランの同行者と行けば、危険を回避し、色々教えを乞いながら、魚の顔を見ることもできると思います。しかしながら、ある程度自分自身で色々と考え、自分の力で釣った喜びは、人の力を借りて釣ったものと、全く違うものだと思います。
そこで、初心者やこれから始めようとしている方が、自分の力で魚を釣ることができるように、「管理釣り場」を利用してみるというのはいかがでしょうか。
先ず、管理釣り場の利点を揚げてみると
1) 最も良いことは、魚が多いということ(場所によっては自然渓流の何倍、何十倍もの数の魚を放流してある。よってある程度は釣れるハズである)
2) 比較的安全である(舗装路から近いとか、木道などで足場が整備されている)
3) 女性や子供にもやさしい(駐車場が近い、管理棟がある、トイレもある、食堂やレストランのあるところも)
4) インストラクターのいる場所では、教えを乞うこともできる
5) 道具が壊れたり、忘れ物があってもどうにかなる場合が多い(売店で毛鉤、ハリスやライン、竿なども置いてあるところも)
6) 禁漁期間(冬季)がないところが多い(自然渓流は、ほとんどの場所に禁漁期間が設定されている)
逆に不利な点を揚げると
1) 料金の問題がある(自然渓流よりも、釣り場の整備、魚の放流にお金がかかる)
2) せっかく釣りに来たのに、雰囲気がないところもある(管理釣り場によりけり)
3) 魚の付き場が甘い(放流量が多く、養殖された魚がほとんどの為、自然渓流と若干ではあるが魚の付いているポイントが違う。そういうところがベテランには面白くないと思われることも。その分初心者にも釣れるチャンスはたくさんある)
そういったわけで、管理釣り場は「魚を釣ってもらう」という前提で成り立っていますので、釣りの基本(道具から竿の振り方、魚の取り込みなど)をじっくりと練習することができます。
ですから、初心者、特に女性やお子さんが、釣りを始めるにはもってこいの場所だと思います。
初心者の方は「自然渓流で天然の魚を釣る」という目標を達成させる為にも、ベテランの方の「禁漁期間に腕を鈍らせない」為にも、リスクの少ない管理釣り場で、じっくり練習してみたらいかがでしょう。
2009/NOV TAKASHI YOSHIDA